遣唐使の加拉巴(Jakarta)漂流記

と或る日系企業の管理畑で働いている田舎者が、遣唐使として中国に派遣された後、今度は東南アジア・インドネシアに派遣されたお話です。日々気づいたことをレポートします。内容については十分確認をとっていますが、あくまで筆者の主観によるものであり、また、正確さについて担保するものでないことは十分ご承知おきください。

海外駐在員の役割って

めいろま氏のツイッターが当方の中で少し話題になっている。

 

彼女の経歴を見ると、欧米の駐在員がやり玉に挙がっているのだろうし、駐在慣れしていたり帰国子女がいたりする弊社商社業界をもってこれを批判するのはたぶん的はずれだろうと思う。

 

思えば、当方も中国研修生時代は、「駐在員って、ホント仕事せんなあ」と思っていたし、それは今でも思っているし、研修生や現地採用の社員と違ってとにかく日本人で群れるので、ローカルの情報なんて一切持っていない。めいろま氏のコメントは、全体化できないにしても概ね当たっていると思う。

商社業界だからかもしれないが、周りを見ていても、日本人ムラとのネットワークが濃厚、というかほとんどそれしかない、という人が多い。駐在しているインドネシアもそうだけど、中国だって、メーカーさんや銀行さんもたくさん出てきていて、その人達とのコネづくりがとても大切なんだというのはまぁわかる。営業部門の駐在員は、ほとんど毎週末社内でのゴルフか日系企業の知り合いとのゴルフだと思う。中国時代は、とにかくそれが嫌で、社内とはつるまず、社外でスカッシュしたり、テニスしたり、ローカルと遊びにいったりと、セカイを広げる事ができたと思う。それが中国を好きになった大きな理由だと思う。インドネシアに数年駐在した人で、「疲れた、インドネシア嫌い」とか言う人いるけど、あれは世界が狭いまま終わっちゃった人であり、基本的に、残念な人、という目で見ることにしている。こんなに広い世界で広い国で色んな人がいる国で、面白くないわけないじゃない、と。

そういう意味も含めて、勉強しない駐在員は本当に多い。英語力もしかり、現地語もしかり、その他ビジネス関連のこともしかり。現地のカルチャーだって、ちょっと足を運べばなんだってわかるのに、家とゴルフ場と日系の居酒屋を行き来するだけで、それで「面白くない」は失礼でしょうよ、と思う。

あと、駐在員はお目付け役にはなれない。基本的にただの落下傘だし、「オペレーションは俺の仕事ではない」というスタンスの方が異常に多いので、細かいところまで目を光らせて不正をつぶす、ということは、駐在員にはできないと思う。コストが高すぎて、細かい実務は割に合わないというのもある。実際、駐在員がたくさんいる中国の拠点でも、不正なんかはやりたい放題だった。そのくせ、最後にはみんな「こんなことまさか起きるとは思わなかった」「常識的に考えればこんなことしないと思っていた」とかいうわけですよ。甘いよね。

 

でも、一つだけ駐在員の仕事として挙げられるとすれば、「会社の代表」として外に出る、ということなんだと思う。これは、学生からすると格好いいし、社内でくすぶる若手からするととても聞こえがいいだろうけど、実際にやってみると結構しんどい。特に大手企業ともなると、交流する相手も結構な身分・年次になるので、やっぱり緊張するし、ときに、本社重役と現地大企業の重役のミーティングをセットしたりするのは、結構しびれるものがある。ここで間違ったら、ビジネス全体が影響を受けるだろうな、と思うと、結構胃がキリキリする。大きな拠点の駐在員は、他の駐在員の見る目もあるから、社内のプレゼンス維持のためにも、社交のゴルフは結構行かなきゃいけなかったりする。結構面倒くさいが、組織なのでしょうがないと思う。

こんな仕事、いばるような仕事じゃないとは思う。お目付け役でもなんでもなく、ただのジャパンデスクじゃないか、と。それはそのとおりで、そんな高級で評価されるような仕事じゃないし、現地社員に対して虚勢を張っていい内容じゃない。こんなことしかしていないから、現地社員に訴えられる、それはまさにそのとおりだと思う。

 

これもまた今度書くけれど、海外駐在というのは、早晩曲がり角に来ると思う。そもそも日本企業自体が曲がり角に来るだろうし、駐在員も淘汰されていくだろうと思う。少なくとも、護送船団方式で大量の駐在員を送り込んで、GM層を抑え、なんちゃって管理をして行くやり方はなくなるだろう。トップか、VPクラスを送り込んで、日本本社とのつなぎ役、もしくは本当にマネジメント力のある人として扱うといった形になるのかもなぁ、なんて思う。

とりとめのない内容でございました。